班長ご挨拶
班長ご挨拶
泌尿器科では、腎臓や膀胱の尿路のみならず、副腎、男性生殖器、後腹膜など多様な臓器・組織の疾患を扱っています。病態別にみれば、悪性腫瘍、感染症、結石、機能障害、外傷・奇形などとなります。その中では、間質性膀胱炎はきわめて特異な疾患です。
間質性膀胱炎の主な症状は、膀胱の痛みや不快感、強い尿意、頻尿などです。これらの症状は、細菌性膀胱炎、結核性膀胱炎、膀胱癌、膀胱結石、過活動膀胱でもみられます。従って、上記のような症状を訴えて泌尿器科を受診すれば、このような疾患を疑って検査が進められます。ところが、間質性膀胱炎では、ほとんどすべての検査で異常がありません。そのため、原因不明の膀胱痛と扱われ、治療どころか正しい診断さえ受けられませんでした。
しかし、2000年に間質性膀胱炎研究会が発足すると、その重要性が認識されるようになりました。2015年には、膀胱内に特異的な所見(ハンナ病変)がある「間質性膀胱炎(ハンナ型)」の重症例が指定難病となり、その病態が明らかになりつつあります。その一方で、間質性膀胱炎の病態の全容は未だ不明のままで、根治的な治療法もありません。多くの苦しむ患者さんが残されています。
本研究班では、指定難病の「間質性膀胱炎(ハンナ型)」を中心としますが、これに限らず、その類似疾患・状態にも視野を広げ、診断基準、重症度基準、ガイドラインの作成・改訂などを通して、専門医や一般医、そして患者さんを含む国民の皆様に啓発活動を行っていきます。このホームページが、その目的に役立てば幸いです。
本間 之夫